人が生きていく上で必ず行う「選択」。
それが、この作品へ取り組むにあたり注目した点です。
妊娠中の妻を交通事故で失い、厭世的な日々を送っていた一人のミュージシャン ーー
彼が抱く心の機微を中心に描いていますが、ストーリーが進んでいくと、鑑賞者はいくつかの分岐点に出会います。
分岐点において鑑賞者は、それまでに接触した実写映像や散文、音楽などが織り成す“情報”をもとに、自分の心象と照らし合わせて「選択」をします。
人それぞれの感性は違い、判断の切っ掛けとなるトリガーが違います。
たとえ同一人物であっても、時と場合によって違いが出てきます。
そうした違いに呼応する“幅”を持たせようと、タッチパネルのインタラクティブ性などを活用して制作しています。
従来の劇場やマスメディア向けのものとは違った映像作品。
短編ですので、気に入った文庫本を繰り返し読むような手軽さで楽しんで下さい。